JR東日本が拓く!鉄道分野の外国人雇用最前線~業界全体の未来を創造する新モデル~

鉄道の線路

2025年7月15日、JR東日本は鉄道分野における特定技能人材育成の本格始動を発表しました 。これは、単にJR東日本グループ内の人材確保に留まらず、日本の鉄道業界全体の持続可能な運営に貢献しようとする画期的な取り組みです 。


驚異の合格率!JR東日本の育成プログラムがすごい理由

JR東日本は2025年2月から3月にかけて、海外から招聘した25名の研修生を対象に「特定技能人材育成研修」を試行的に実施しました 。この研修を修了した25名のうち24名が鉄道分野の特定技能1号評価試験に合格したのです 。これは96%という驚異的な合格率であり 、研修プログラムの質の高さと、外国人材のポテンシャルを明確に示しています。この成功を受けて、JR東日本は今年度から研修の受講者数を年間100名規模に拡大し 、JR東日本以外の鉄道事業者も参画可能なオープンな教育プラットフォームとして募集を開始しました 。

技能実習から特定技能へ!鉄道業界初のスムーズな移行事例が誕生!

さらに注目すべきは、2025年6月26日にJR東日本で技能実習生として就労していた3名が、鉄道事業者として初の特定技能人材として認定されたことです 。彼らはベトナム国籍の男性で 、2022年6月26日に来日し、JR東日本に入社、大宮総合車両センターにて冷凍空気調和機器施工職種で3年間の技能実習に従事しました 。2025年3月15日に行われた特定技能1号評価試験(車両整備区分)に合格し 、6月26日に在留資格を「特定技能」に切り替え、鉄道分野の特定技能人材として就労可能になりました 。これは、技能実習制度が特定技能制度への円滑な移行パスとして機能する可能性を示しており 、今後、技能実習を終えた外国人材が日本の鉄道業界で長期的に活躍する道が開かれたと言えるでしょう 。

業界全体を巻き込む!「オープンな教育プラットフォーム」の魅力

今回のJR東日本の取り組みが画期的なのは、そのオープンな教育プラットフォームという点です 。研修プログラムはJR東日本グループだけでなく、他の鉄道事業者や協力会社も受講者を募ることが可能となっています 。研修はJR東日本総合研修センター(福島県白河市)で実施され 、以下の3区分で募集が予定されています:

  • 車両整備区分:約20名
  • 軌道整備区分:約40名
  • 電気設備整備区分:約40名

研修期間は約4週間で 、その後特定技能評価試験を受験する流れとなります 。研修費用は一人あたり30万円(税別)で 、渡航費(往復)、短期滞在ビザ申請費、日本国内移動のための交通費、研修受講費、教材費、宿泊費、食費、特定技能1号評価試験受験料を含みます 。これは、外国人材を受け入れたいと考える地方の鉄道事業者や中小企業にとって、非常に手厚いサポートと言えるでしょう。JR東日本が培ってきた技術やノウハウが、業界全体に波及することで、日本の鉄道インフラを支える技術者確保に大きく貢献することが期待されます 。

未来を見据えた「勇翔 2034」と最新研修施設の建設

JR東日本は、グループ経営ビジョン「勇翔 2034」の実現に向けて、今回の特定技能人材育成研修を始めとした総合的な人材育成プログラムを展開していきます 。その一環として、JR東日本総合研修センター敷地内に2027年度中(予定)の完成を目指し、新たな研修棟の建設も計画されています 。この新研修棟は、最新技術と高い環境性能を備え、最大100名の宿泊研修が可能な建物となる予定です 。

「未来創造型総合人材育成プログラム」と銘打たれたこの取り組みには 、特定技能人材育成、鉄道技術者育成、次世代リーダー育成の3つの柱が検討されており 、このうち特定技能人材育成と鉄道技術者育成はJR東日本グループ以外の鉄道事業者も受講可能にするとのことです 。

鉄道業界における外国人雇用の未来

少子高齢化が進む日本において、労働力不足は深刻な問題であり、鉄道業界も例外ではありません。今回のJR東日本の取り組みは、外国人材を積極的に活用することで、この課題解決に一石を投じるものです。特定技能制度は、即戦力となる外国人材を受け入れるための制度であり、鉄道分野での本格的な活用は、日本の鉄道インフラの維持・発展に不可欠な労働力を確保する上で極めて重要です。

JR東日本がオープンなプラットフォームとして研修を提供する姿勢は、業界全体の底上げにも繋がります 。今後は、この特定技能人材育成プログラムを通じて、より多くの外国人材が日本の鉄道技術を習得し、各社で活躍する姿が見られることでしょう。そして、特定技能2号への追加を目指す動きも示されており 、これにより外国人材が日本で長期的にキャリアを形成できる道がさらに広がる可能性があります 。JR東日本のこの先進的な取り組みは、日本の外国人雇用における新たなモデルケースとして、他産業にも大きな影響を与えることが期待されます。