【緊急警報】ミャンマー特定技能、突如襲いかかる「出国制限」の壁!業界激震の舞台裏と今後の展望

微笑んでいるミャンマー人女性


突然の事態、ミャンマーからの入国が「実質停止」の危機に

日本の特定技能を巡る状況は、日々刻々と変化しています。特に、近年注目され、多くの特定技能外国人材を輩出してきたミャンマーからの受け入れにおいて、現在、極めて深刻な事態が進行していることを、業界関係者の皆様はご存知でしょうか。

「内定は決まった。あとは入国を待つだけだと思っていたのに、一向に来日できない」「すでにスマートカードの申請まで済ませたはずが、突然の音沙汰なし」──。このような声が、全国各地の企業様から悲鳴のように上がっています。

一体何が起きているのか。その原因は、ミャンマー国内の緊迫した政治情勢、特に「徴兵制の導入」とそれに伴う「出国制限の厳格化」にあります。

ミャンマー徴兵制の導入が特定技能に与える致命的な影響

2024年2月、ミャンマー軍事政権は突如として徴兵制を導入しました。これにより、18歳から35歳までの男性に、原則として2年間の兵役が義務付けられることになりました。この決定は、ミャンマー国内に大きな動揺をもたらし、多くの若者が徴兵を避けるために国外脱出を試みる事態に発展しています。

当然ながら、軍事政権はこうした人材の国外流出を看過しません。兵役義務を果たすべき年齢層の男性に対し、海外就労を目的とする「出国許可」の発行を事実上停止、あるいは極めて厳格化しているのです。

この措置は、特定技能外国人材の受け入れを計画していた日本企業にとって、まさに青天の霹靂と言えるでしょう。特定技能の主要なターゲット層である若年男性が、自国の政策によって「出国できない」という前代未聞の壁に直面しているのです。

「スマートカード」取得の困難化と手続きの不透明性

ミャンマー人が海外で合法的に就労するためには、ミャンマー政府が発行する「スマートカード(海外労働許可証:OWIC)」の取得が必須となります。これまでも、このスマートカードの取得には一定の時間と手続きが必要でしたが、徴兵制導入後はその状況が著しく悪化しています。

最新の情報によれば、徴兵制対象となる年齢の男性に対するスマートカードの発給が滞るだけでなく、完全に停止されているケースも多数報告されています。これは、出国許可が下りないことと密接に関連しており、たとえ日本での内定が決まっていたとしても、スマートカードが取得できなければ日本への渡航は不可能です。

さらに、ミャンマーから日本への特定技能外国人材の送り出しは、ミャンマー政府が公認する送り出し機関を通じて行うことが義務付けられています。しかし、徴兵制導入後の混乱期において、送り出し機関を通じた手続きも極めて不透明かつ複雑化しており、明確な見通しが立たない状況が続いています。

限られた試験職種と拡大の兆しが見えない現状

ミャンマー国内で特定技能の試験が実施されている職種は、介護、外食、農業、建設、宿泊のわずか5職種に限定されています。この制限自体も、ミャンマーからの特定技能外国人材の多様な受け入れを阻む要因となっていましたが、今回の徴兵制による出国制限は、これら5職種においても深刻な影響を及ぼしています。

例えば、これまで積極的にミャンマー人材を受け入れてきた介護や農業分野においても、若年男性の来日が困難になることで、今後の人材確保計画に大きな狂いが生じかねません。

受け入れ企業側の「人数制限」と送り出し機関・紹介会社の「供給問題」

ここで、特定技能の受け入れ人数に関する誤解を解いておきましょう。特定技能制度では、原則として受け入れ企業が雇用できる外国人材の人数に上限はありません。これは、技能実習制度が企業の常勤職員数に応じて人数が制限されるのとは異なります。

ただし、例外として介護分野と建設分野においては、受け入れ企業が雇用できる特定技能外国人材の人数に上限が設けられています。介護分野では「日本人等の常勤介護職員の総数」、建設分野では「特定技能所属機関の常勤職員(技能実習生、特定技能1号を除く)の総数」が上限となります。これは、適切な管理・指導体制の確保を目的としたものです。

一方で、送り出し機関や日本の人材紹介会社が「紹介できる人数」に、法令上の直接的な制限はありません。しかし、現在のミャンマーの状況下では、送り出し機関がそもそも人材を「送り出せない」、あるいは人材紹介会社が「紹介したくても供給がない」という、送り出し国側の事情による供給の問題が顕在化しているのです。これは、法的な人数制限とは異なる次元の課題であり、特定技能の運用における新たな障壁となっています。

業界への影響と今後の対策

このミャンマー情勢は、日本の特定技能業界全体に深刻な影響を及ぼし始めています。特定技能外国人材に将来の安定的な労働力を見込んでいた企業様においては、人材確保計画の抜本的な見直しを迫られる事態に発展しています。

では、私たちはこの状況にどう向き合うべきでしょうか。

まず第一に、最新かつ正確な情報収集が不可欠です。ミャンマー政府の方針は日々変化する可能性があり、情報のアップデートを怠らないことが重要です。信頼できる送り出し機関や関係省庁からの情報を常に確認し、誤った情報に惑わされないように注意しましょう。

第二に、リスク分散の重要性です。特定技能外国人材の受け入れをミャンマー一国に依存していた企業様は、他国籍の人材受け入れも視野に入れるなど、リスク分散を図る必要があります。ベトナム、インドネシア、フィリピンなど、特定技能における主要な送り出し国との関係を強化することも検討すべきでしょう。

第三に、代替策の検討です。技能実習制度など、他の在留資格での人材受け入れや、国内人材の確保、省力化・自動化の推進など、多様な角度から人手不足対策を講じる必要があります。

現在、ミャンマー特定技能に関する状況は非常に流動的であり、楽観視できる状況ではありません。しかし、この困難な状況を乗り越えるためにも、業界全体で情報を共有し、連携を強化していくことが求められます。

引き続き、日本の特定技能を支える皆様に有益な情報を提供できるよう、状況を注視してまいります。この危機を乗り越え、日本の産業を支える特定技能制度の発展のために、共に知恵を出し合いましょう。