鹿児島県は、増加する外国人労働者の住居確保を支援するため、空き家が常態化している県営住宅を雇用主である事業者に貸し出す取り組みを開始しました(南日本新聞 2025年9月18日掲載)。これは、九州・沖縄8県で初の試みであり、深刻な社会課題を同時に解決するモデルケースとして注目されています。
取り組みの背景と概要
この施策が生まれた背景には、二つの喫緊の社会課題があります。一つは、外国人材の住居確保問題です。県内の外国人労働者は2024年10月時点で過去最高の1万4,240人に達しており、雇用する企業から住居に関する相談が増加していました。もう一つは、県営住宅の空き家問題です。2025年7月1日時点で県営住宅の入居率は83.5%にとどまっており、多くの団地で空き家が常態化していました。
この取り組みでは、空き家率が20%以上かつ空き家が10戸以上ある、県内16市町の39団地、計160戸を対象として選定。県と雇用主である事業者が直接契約を結ぶことで、外国人材が安価で安定した住居を確保できるようになります。
双方にとってのメリットと今後の展望
この画期的な試みは、外国人労働者、そして雇用主双方に大きなメリットをもたらします。
- 外国人労働者にとって:言語や保証人の壁から入居を断られることが多い中、安定した住居を容易に確保でき、日本での生活基盤を早期に確立できます。
- 雇用主にとって:人手不足が深刻な状況で、住居付きで外国人材を雇用できることは大きな強みとなり、優秀な人材の確保や定着率の向上に繋がります。
県は2025年9月8日にこの取り組みを開始しており、既に3事業者から問い合わせがあるなど、関心の高さがうかがえます。今後は、対象団地の自治会に丁寧な説明を行いながら事業を進めていく方針です。
この鹿児島県の試みは、人手不足と空き家という日本の二つの深刻な社会課題を同時に解決する可能性を示しており、今後の進捗が全国の自治体にとって重要なモデルケースとなるか注目されます。









