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はじめに:あなたは外国人雇用で「損」していませんか?
「人手不足の解消に、外国人の採用を検討している」「すでに外国人を雇用しているが、日本人採用と変わらないコストが課題だ」―もしあなたがそうお考えなら、朗報です。
実は、外国人労働者の受け入れ体制を整備する企業に対して、国から最大80万円の助成金が支給されることをご存知でしょうか?
これは「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」という制度です。
しかし、多くの外国人雇用企業がこの制度を知らず、申請可能な助成金を見過ごしています。まるで、目の前にある宝の地図に気づかず、損をしているようなものです。
本記事では、外国人雇用新聞の敏腕記者が、この助成金の知られざる全貌を徹底解説します。
- どんな企業がもらえるの?
- いくらもらえるの?
- どうすればもらえるの?
この記事を読み終える頃には、あなたは外国人雇用の「勝ち組」企業になるための第一歩を踏み出しているはずです。
【ポイント1】「人材確保等支援助成金」とは?
この助成金は、厚生労働省が外国人労働者の就労環境を整備する事業主を支援するために設けられたものです。単に外国人を雇えばもらえるわけではありません。大切なのは、「就労環境の整備」に取り組むことです。
具体的には、外国人労働者が安心して働き続けられるような職場づくりを進める企業に対し、その取り組みにかかった経費の一部を助成するというものです。
対象となる取り組みは多岐にわたりますが、どれも外国人労働者の定着率向上に直結する重要な施策ばかりです。
【ポイント2】気になる「いくらもらえる?」
助成額は、受給要件をすべて満たした場合、1制度導入につき20万円が支給され、上限は80万円です。
ここで重要な点をしっかりおさえておきましょう。
- この助成額は、外国人労働者の人数に関わるものではありません。
- 助成金の対象となるのは、会社全体で実施する「就労環境整備」という取り組みに対してです。
- たとえば、就業規則を多言語化する取り組みは、たとえ10人の外国人労働者を雇用していても、一社として一度の取り組みと見なされます。
- 支給は、原則として一回限りです。
- この助成金は、外国人労働者の就労環境整備を新たに導入・実施する企業を支援する目的で設けられています。
- そのため、一度受給した企業は、同じ内容での申請はできません。
【ポイント3】こんなにたくさん!助成金の対象となる「取り組み」
この助成金は、「外国人労働者就労環境整備計画」を作成し、以下の必須項目2つと選択項目1つ以上を実施することが要件となります。
<必須項目>
- 雇用労務責任者の選任
- 外国人労働者の雇用管理を専門に行う担当者を選任すること。外国人労働者からの相談や苦情に対応し、安心して働ける環境を整える役割を担います。
- この担当者は、外国人労働者の支援体制を円滑に進める上で不可欠な存在です。
- 就業規則等の多言語化
- 外国人労働者が理解できるよう、就業規則や賃金規程などを日本語以外の言語に翻訳すること。これにより、労働条件や会社のルールを正しく理解し、不要なトラブルを防ぐことができます。
- 特に、労働基準法に定められた事項は必ず多言語化する必要があります。
<選択項目>(この中から1つ以上実施)
- 苦情・相談体制の整備
- 相談窓口の設置や、多言語対応の相談員の配置など、外国人労働者が気軽に相談できる体制を整備すること。
- 外国人労働者が抱える問題は、生活習慣、文化、言語など多岐にわたります。気軽に相談できる場所があるだけで、離職率を大きく下げる効果が期待できます。
- 一時帰国のための休暇制度の整備
- 母国への一時帰国を希望する外国人労働者に対し、年次有給休暇とは別に、一時帰国用の特別休暇制度を設けること。
- 外国人労働者の多くは、母国の家族や友人と離れて日本で働いています。この制度は、彼らが抱える孤独や不安を軽減し、モチベーションを維持する上で非常に有効な策です。
- 社内マニュアル・標識類等の多言語化
- 業務で使用するマニュアルや、危険を知らせる標識などを、外国人労働者の母国語に翻訳すること。
- これにより、業務の効率化だけでなく、労働災害の防止にもつながります。
これらの取り組みは、外国人労働者の定着率向上だけでなく、社内の安全管理や生産性の向上にもつながる、一石二鳥の施策です。
【ポイント4】意外と知らない!対象となる「在留資格」
この助成金は、特定の在留資格を持つ外国人だけが対象だと思われがちですが、実は多くの在留資格が対象となります。
- 特定技能
- 技能実習
- 技術・人文知識・国際業務(技人国)
これらいずれの在留資格を持つ外国人労働者でも、助成金の申請は可能です。
なぜなら、この助成金は「雇用保険の被保険者である外国人労働者」を雇用している事業主を対象としているためです。特定技能、技能実習、技人国といった就労可能な在留資格を持つ外国人は、雇用保険の適用対象となる場合が多く、助成金の対象となります。
ただし、助成金の種類によっては在留資格が限定される場合もあるため、常に最新の情報を確認することが重要です。
【ポイント5】見落としがちな「もう一つの重要要件」
この助成金を受給するためには、もう一つ重要な要件があります。それは、
「就労環境整備計画期間終了後の外国人労働者の離職率が15%以下であること」
です。
これは、単に制度を導入するだけでなく、その効果として「外国人労働者の定着率が向上したこと」を国が求めていることを意味します。
外国人労働者の定着は、企業の安定的な経営に不可欠です。この要件をクリアすることは、助成金の受給だけでなく、企業の成長にとっても大きなメリットとなります。
【ポイント6】申請から受給までのステップ
「どうやって申請すればいいの?」という疑問をお持ちの方のために、申請から受給までの大まかな流れを解説します。
- 就労環境整備計画の作成・提出
- まず、外国人労働者の就労環境をどのように改善していくか、具体的な計画を立てます。
- この計画を、会社の所在地を管轄するハローワークまたは労働局に提出し、認定を受けます。
- 就労環境整備の実施
- 計画の認定を受けたら、計画期間内に実際に環境整備の取り組み(就業規則の多言語化など)を実施します。
- 助成金の支給申請
- 計画期間が終了したら、助成金の支給申請を行います。
- 申請時には、取り組みを実施したことが証明できる書類(翻訳費用を支払った領収書など)を提出します。
- 審査・助成金の受給
- 提出された書類に基づいて審査が行われ、要件を満たしていることが確認されると、助成金が支給されます。
手続きには専門的な知識が必要となる場合もあります。社会保険労務士などの専門家を活用することで、スムーズに申請を進めることができます。
まとめ:今すぐ行動を起こし、外国人雇用を成功させよう!
「人材確保等支援助成金」は、外国人労働者と企業双方にとってメリットのある、非常に有効な制度です。
- 外国人労働者は、安心して働き続けられる環境を手に入れることができます。
- 企業は、助成金を受け取りながら、定着率の高い職場を作り、安定した経営基盤を築くことができます。
この記事を読んで、この助成金について知らなかったあなたは、もう「知らない」企業ではありません。ぜひ、この機会に助成金の活用を検討し、外国人雇用の成功を目指してください。