日本の企業社会では、Facebookはすでに利用者が減った「過去のSNS」という印象を持たれることもあります。しかし、ベトナムやミャンマー、インドネシアなどの外国人労働者のコミュニティでは、いまなお重要な情報インフラとして機能しています。
仕事探しや生活情報の共有、さらには転職の相談まで、多くのやり取りが母国語によるFacebookグループで行われているのが実情です。こうした環境の中で近年、企業の人材確保の観点から注目されているのが「デジタル給与」の導入です。
2023年には、日本でも資金移動業者の口座を利用した給与支払いが制度として認められました。2026年現在、この仕組みは外国人雇用の現場でも新たな意味を持ち始めています。
外国人コミュニティにおけるSNSの影響力
外国人労働者の多くは、就職や転職の情報を同郷コミュニティのSNSから得ています。行政のウェブサイトや求人票よりも、母国語で共有される経験談や口コミが重視される傾向が強いと指摘されています。
実際、外国人向けのFacebookグループでは「どの会社が働きやすいか」「どの地域で生活しやすいか」といった情報が日常的に交換されています。企業の待遇や職場環境に関する評価も、こうしたコミュニティを通じて広がります。
このため、企業が外国人材を採用する際には、公式の求人情報だけでなく、SNS上でどのように語られているかが採用力に影響するケースも少なくありません。
デジタル給与制度の広がり
日本では2023年4月、給与を銀行口座以外の方法で支払う「デジタル給与払い」が制度として解禁されました。これはPayPayなどの資金移動業者のアカウントを利用して給与を受け取る仕組みです。
銀行口座による給与振込が依然として主流である一方、この制度は外国人労働者にとって一定の利便性を持つと考えられています。スマートフォンだけで残高管理や送金ができるため、母国への送金や日常の決済に利用しやすいという側面があります。
特に地方では銀行支店が少ない地域もあり、金融手続きの利便性を高める手段として企業側が導入を検討するケースも見られます。こうした取り組みは、外国人コミュニティのSNSを通じて「働きやすい企業」として評価される可能性もあります。
外国人雇用における企業の対応
今後、日本では外国人労働者の転職制度の見直しも予定されています。2027年に開始予定の育成就労制度では、一定条件のもとで転籍が認められる方向で議論が進んでいます。
そのため企業にとっては、採用した人材をいかに定着させるかがこれまで以上に重要な課題になります。給与制度や福利厚生の改善、生活面のサポートなど、職場環境の整備が企業競争力に直結する可能性があります。
外国人労働者のコミュニティでは、実際の職場環境や待遇についての情報がSNSを通じて広く共有されます。企業が従業員の満足度を高める取り組みを行えば、その評価は自然とコミュニティ内に広がっていくでしょう。
外国人雇用の現場では、採用の入り口だけでなく、働き続けたいと思える環境づくりが重要になっています。デジタル給与の導入は、その一つの手段として注目されていると言えます。










