外免切替を経て大型トラックドライバーになるまで 〜特定技能「自動車運送業」外国人材の免許取得プロセスを整理する〜

高速道路サービスエリアに整然と駐車された大型トラックの数々

特定技能「自動車運送業」で外国人ドライバーを受け入れようとする際、最も混乱が生じやすいのが運転免許の取り扱いです。海外で大型トラックを運転してきた人材であっても、日本の免許制度では同じ扱いにならない部分が多く、誤解に基づいた計画が立てられてしまうことも少なくありません。

本記事では、複数の運転免許試験場への取材(2026年2月)で確認した内容をもとに、外免切替を経て大型トラックドライバーとして就労可能になるまでの道筋を整理します。


外免切替は「日本の免許制度への入口」

外免切替とは、外国で取得した運転免許を日本の運転免許に切り替える制度ですが、ここで重要なのは、外免切替はあくまで日本の免許制度に入るための手続きであり、海外での免許区分や運転実績がそのまま日本の免許区分に対応するわけではないという点です。

実務上一般的に、外免切替によりまず普通免許、または条件により準中型免許を取得することになります。海外で大型車や牽引車を運転していた経験があったとしても、外免切替の時点で自動的に大型免許が付与されるわけではありません。


「日本で3年待たなければ大型免許が取れない」は誤解

外国人ドライバーの受入を検討する際によく聞かれるのが、「日本で普通免許を取得してから3年経たないと大型免許を取得できないのではないか」という疑問です。

この認識は必ずしも正しくありません。大型免許の受験資格に必要とされる「免許経歴3年以上」という要件については、海外での運転経歴を日本の経歴要件に加算することができます。そのため、海外で十分な運転経験があることを適切な書類で証明できれば、外免切替で普通免許を取得した後、日本で3年の待機期間を置かずに大型免許取得に進むことが可能です。

ここで重要なのは、「日本での免許取得後の年数」ではなく、「免許を保有し運転できる立場にあった期間の通算年数」で判断されるという点です。


大型免許は原則として「新たに取得する免許」

外免切替後に大型免許を取得する場合、日本の免許制度に基づき、大型免許としての技能や適性を確認するプロセスを経る必要があります。一般的には、指定教習所で教習を受けて取得する方法や、運転免許試験場で技能試験を受ける方法が想定されます。

海外で大型車を運転していた経験がある場合でも、その経験は試験や教習が免除されることを意味するものではなく、あくまで受験資格を満たすための要素として評価されるにとどまります。この点を誤解すると、「海外経験があるから簡単に取れる」という過度な期待につながり、結果的に計画が破綻する恐れがあります。

パーキングエリアに並ぶ大型トラック



海外免許の区分と日本の免許区分は自動対応しない

海外の運転免許には、車両総重量や用途に応じて複数の区分が設けられていることがありますが、それらが日本の大型免許や中型免許にどの区分として対応するかは、制度上あらかじめ一律に決まっているわけではありません。

運転免許試験場の回答でも、海外免許の区分が日本のどの免許に相当するかについては、一般論として判断することはできず、免許証や補足書類を確認したうえでの個別審査になるとされています。したがって、海外免許の名称や区分だけを根拠に、日本での免許取得ルートを断定することは避けるべきです。国土交通省・法務省が定める運用要領でも「詳しくは各都道府県警察の運転免許センターにお問い合わせください。」と記されており、受け入れる外国人の状況に応じて都度確認することが重要です。

参考:特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領


運転経歴を証明する書類の重要性

海外での運転経歴を日本の受験資格に加算するためには、その経歴を客観的に証明できる書類が不可欠です。多くの国の免許証には初回取得日や詳細な履歴が明記されていない場合があり、その場合には、現地の警察や関係機関が発行する運転経歴証明書の提出が求められます。

加えて、免許証の日本語翻訳文や、必要に応じてパスポートによる滞在履歴の確認などが求められることもあります。これらの書類が揃っていないと、海外での運転経験があっても受験資格を満たしていると判断されず、計画が大きく遅れる可能性があります。


外免切替から大型ドライバー就労までの一般的な流れ

外免切替を経て大型トラックドライバーとして就労するまでの流れは、国籍や免許制度の違いを超えて、概ね次のように整理できます。

段階内容
1海外で運転免許を取得し、一定期間の運転経験を積む
特定技能試験・日本語試験に合格する
2運転経歴を証明する書類を準備する
3日本の受入企業から内定を受け、特定活動6ヶ月の申請を行う
4来日し、特定活動6ヶ月の間に外免切替手続きを行う
5外免切替で日本の普通免許または準中型免許を取得する
6特定技能1号申請
7海外運転経歴を含めた受験資格(経歴3年以上であり21歳以上等)に基づき大型免許取得に進む(中型は経歴2年以上であり20歳以上)
8特定技能1号の在留カードが発行された日から特定技能「自動車運送業」として就労する


制度理解で最も重要な視点

外免切替や大型免許取得に関しては、「制度上できるかどうか」と「実務として現実的かどうか」を分けて考えることが重要です。制度上は可能であっても、試験の難易度や育成コスト、安全管理の観点から、どのルートを選択するかは受入企業や支援機関の責任ある判断が求められます。

外国人ドライバーの受入を成功させるためには、断片的な情報や噂に頼るのではなく、運転免許試験場などの公的機関に直接確認した一次情報をもとに、現実的な育成計画を描くことが不可欠です。

本記事が、外免切替を経た大型トラックドライバー人材の受入を検討する際の、冷静で実務的な判断材料となれば幸いです。