島根県、外国人住民が初の1万人突破!深刻な人手不足と外国人雇用の最前線

島根の風景

島根県では、深刻な人手不足が地域経済の大きな課題となっています。県の調査によると、2025年1月時点で県内の外国人住民数は初めて1万人を突破し、1万451人に達しました。 この数字は、人手不足を補うために、技能実習や特定技能といった在留資格を持つ外国人労働者の受け入れが急速に進んでいる実態を示しています。


島根県の主要産業と深刻化する人手不足

島根県の主要産業は、製造業、建設業、農業、そして観光業が中心です。これらの産業は全国的に人手不足が深刻ですが、島根県では複数の要因が重なり、より厳しい状況にあります。具体的には、進学や就職に伴う若年層の県外流出が続き、労働力の中核となる世代が不足しています。また、全国平均を上回る高齢化率の高さが、労働力人口の減少に拍車をかけている状況です。さらに、山陰地方共通の事情として、都市部からの距離や交通アクセスの不便さも、人材確保の障壁となっています。

特に人手不足が顕著な産業としては、まず建設業が挙げられます。ここでは熟練技術者の高齢化が進み、若手人材の確保が急務となっています。製造業も例外ではなく、技能実習生や特定技能外国人の受け入れが進む一方で、人手不足は依然として深刻です。高齢化に伴って介護・看護職員の需要が増加している医療・福祉分野でも人材不足が続いています。そして、観光客の増加に伴い、宿泊・飲食サービス業においてもサービス業全般で人手不足が顕著化しています。

人手不足に喘ぐ現場の声

「特に建設業では、熟練の職人が高齢化で引退し、若手のなり手も少ない。公共事業だけでなく、高齢化が進む地域では住宅の修繕ニーズも高く、人手不足は深刻です」と、島根県内の建設業者は窮状を訴えます。また、ある製造業の経営者は、「技能実習生や特定技能外国人の受け入れで、なんとか生産ラインを維持している状態です。しかし、言語や文化の違いから、コミュニケーションの壁を感じることも少なくありません」と、外国人雇用における課題を指摘しています。

外国人雇用がもたらす可能性と課題、そして県の対策

このような状況下で、外国人雇用は島根県経済を支える重要な鍵となっています。製造業や建設業では、技能実習や特定技能の在留資格を持つ外国人が即戦力として活躍しています。また、農業では季節労働者として外国人を受け入れることで人手不足を補い、観光業では多言語対応可能な外国人を雇用することでインバウンド需要に対応しています。

一方で、外国人雇用には乗り越えるべき課題も存在します。円滑なコミュニケーションや文化理解のための支援、すなわち言語・文化の壁への対応が必要です。また、外国人が安心して暮らせる住居・生活環境の整備も求められています。さらに、長期的な労働力確保のためには、単なる受け入れにとどまらず、定住促進に向けた支援も重要になってきます。

島根県では、これらの課題に対し、具体的な対策を進めています。外国人向けの日本語教室や生活相談窓口を設置し、日本語学習支援を強化しています。また、外国人向けの住宅情報提供や生活オリエンテーションを実施するなど、住居・生活支援にも注力しています。さらに、地域住民との交流イベントや多文化共生に関する啓発活動を通じて、多文化共生社会の実現を目指しています。

まとめ

島根県における外国人雇用の拡大は、深刻な人手不足を解消し、地域経済を活性化させるための重要な手段です。課題はありますが、適切な支援と対策を進めることで、外国人労働者は地域社会に大きく貢献し、島根県は外国人労働者と共に発展していくことが期待されます。

参考資料