【6月運用開始予定】「特定在留カード」で何が変わるのか — 利便性を「安心」につなげる企業側の備え

特定在留カード

2026年6月14日から、在留カード等とマイナンバーカード機能の一体化を可能にする「特定在留カード」の運用が始まる予定です。翌開庁日の6月15日から、地方出入国在留管理局で交付申請を受け付けると案内されています(出入国在留管理庁)。
この仕組みは、在留カードとマイナンバーカードに関する手続きが別々の行政機関に分かれていた状況を見直し、本人の負担軽減と行政事務の効率化を図るものです。

ただし重要なのは、「一体化は希望者が選べる」点です。出入国在留管理庁は以下のように説明しています:

マイナンバーカードの取得は任意であることと同様に、特定在留カード等の取得も任意であり、引き続き在留カードとマイナンバーカードを2枚持つことも可能です。 なお、特定在留カード等の導入と同時に、在留カード等の様式も変更される予定ですので、特定在留カード等の取得を希望しない場合は、新たな様式の在留カード等が交付されることになります。

企業側としては、制度変更を「便利になった」で終わらせず、社内の不安や誤解を減らし、手続き負担の偏りを抑える設計が求められます。


特定在留カードで何が変わるのか

主要な変更点(従来との比較)

論点従来「特定在留カード」取得時
手続き窓口入管庁と市区町村で分かれる入管庁側に原則ワンストップ化される事項が増える
在留期間更新等入管手続(+マイナンバーカード側の更新対応が別途発生し得る)入管手続の中で一体的に処理され、自治体での追加手続が不要になる場面がある
住居地変更自治体で在留カード書換/別途マイナンバー側の対応住居地変更時に更新するカードが一本化
取得の扱い在留カードは必須、マイナンバーカードは任意一体化は希望制(希望しない場合は2枚運用も可)


企業が先回りして整えるべき「安心」のポイント

1)「監視が強まるのでは」という不安に対して

制度変更時、外国人社員の側では「情報が一枚に集約される=監視が強まるのでは」と受け止めるケースがあります。ここで大切なのは、会社が評価や管理の話にすり替えず、手続き負担の軽減や利便性向上が主目的であることを、公式情報に沿って丁寧に説明することです。

また、SNS上の不確かな情報が不安を増幅させることもあります。制度の説明は、社内掲示や配布資料にまとめ、必要に応じてやさしい日本語や母語で補助します。ここを「会社が情報の拠り所になる」形にできると、心理的な安定につながります。

2)「会社がやること」と「本人が決めること」を線引きします

一体化は希望制です。会社が「全員これで」と一律に押し切るより、本人が選べる制度であることを明確にし、「希望する人にはサポートする」という立て付けにすると混乱が起きにくくなります。

3)手続き支援は“最小限の伴走”が現実的です

交付申請では、申請書類や暗証番号の設定などが関わる見込みで、会社が過度に踏み込むと、情報管理上のリスクが増えます。
「どこで、いつから、何をするか」を整理して共有し、必要なら通訳同席や申請導線の案内に留める ― この距離感が、企業側にとっても安全です。


社内向けに配る「1枚案内」(そのまま使えます)

  • 2026年6月14日から「特定在留カード」等の運用が始まる予定です。
  • 一体化は希望制で、従来どおり2枚のカードを使うこともできます。
  • 住所変更や更新の際、入管庁と自治体に分かれていた手続きが整理され、負担が減る場面があります。
  • 会社は、希望する人に限り手続きの案内をします。暗証番号などの個人情報は会社では預かりません。


おわりに

「特定在留カード」は、外国人社員の生活を取り巻く行政手続きを整理し、本人の負担を軽くする狙いがあります。
一方で、制度の“便利さ”は、説明が不足すると“監視される不安”に転化しかねません。企業ができるのは、制度を宣伝することではなく、誤解が生まれにくい情報提供と、希望者への適度な伴走です。

2026年6月は、手続き変更が現場に降りてくる最初の山場になります。社内での案内文、相談窓口、個人情報の取り扱い方針を先に整えておけば、制度変更は「混乱の種」ではなく、定着支援の一環として機能しやすくなります。