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法令遵守と支援体制:企業の受け入れ資格をセルフチェック!
人手不足解消の切り札となる特定技能外国人材の受け入れ。しかし、外国人材を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、国が定める厳しい要件を満たす必要があります。
この要件を満たさないまま受け入れを進めると、申請が不許可になるだけでなく、法令違反のリスクも生じます。初めて受け入れを検討する企業のために、最低限クリアすべき3つの重要チェックリストを基本事項と併せて解説します。
チェックリスト1:過去の法令遵守に関するチェック
特定技能制度は、不当な労働や人権侵害を防ぐため、過去に法令違反がないかを厳しくチェックします。
| 項目 | 内容 | 必須要件 | 確認ポイント |
| 労働法令違反の有無 | 過去5年以内に労働基準法、労働安全衛生法などの労働関係法令、または入管法(出入国管理及び難民認定法)に関する重大な違反がないこと。 | 必須 | 書類送検や行政指導などの記録がないかを確認。 |
| 保証金・違約金の徴収禁止 | 外国人材に対し、金銭の支払いを伴う保証金や、契約不履行を理由とする違約金を徴収する規定がないこと。 | 必須 | 雇用契約書や就業規則に、そうした条項がないことを確認。 |
| 適正な社会保険加入 | 外国人社員を雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険といった公的保険に、日本人社員と同様に全て加入させること。 | 必須 | 法定の加入要件を満たす社員全員が、適切に加入済みであるかを確認。 |
👉 受け入れ資格の基本: 特定技能制度の申請では、過去5年間の法令遵守の状況が細かく審査されます。違反が判明した場合、原則として受け入れは認められません。
チェックリスト2:雇用条件と待遇に関するチェック
特定技能外国人の雇用は、「日本人と同等以上の待遇」を厳格に求められます。
| 項目 | 内容 | 必須要件 | 確認ポイント |
| 賃金の同等性 | 同種の業務に従事する日本人社員の賃金と比較して、同等以上であること(同一労働同一賃金)。 | 必須 | 賃金テーブルを日本人社員と比較し、合理的な格差がないことを証明できるか。 |
| 雇用契約の適正性 | 雇用契約期間が不当に短くないこと、また、外国人社員本人が契約内容を完全に理解できる言語(母国語)で契約書が作成されていること。 | 必須 | 契約書が母国語訳されているか、または「やさしい日本語」で説明できるか。 |
| 一時帰国の許可 | 外国人社員が休暇などで一時帰国を希望した場合、必要な休暇を取得させることが約束されていること。 | 必須 | 社内規定で不当に帰国を制限していないかを確認。 |
チェックリスト3:支援体制に関するチェック
外国人材が日本で安心して働くための生活サポート(支援)体制を整えることは、受け入れ企業の義務です。
| 項目 | 内容 | 必須要件 | 確認ポイント |
| 支援体制の確保 | 法令で定められた10項目の支援(住居確保、生活オリエンテーション、相談対応など)を適切に実施できる体制があること。 | 必須 | 自社で実施するか、登録支援機関に委託するかどうかの方針を決めているか。 |
| 支援責任者と担当者の選任 | 自社で支援する場合、支援業務を適切に遂行できる支援責任者と支援担当者を選任していること。 | 必須 | 担当者が外国人材の母国語に対応できる、または外部の通訳手段を確保しているか。 |
| 相談体制の構築 | 外国人社員からの職場や生活に関する相談を、母国語で受け付け、内容に応じて適切な対応ができる体制があること。 | 必須 | 相談窓口を明確に設定しているか、3カ月に一度の定期面談を実施できるか。 |
💡 初めて受け入れる企業へ
特に「支援体制」に関するチェックリスト3は、初めて特定技能人材を受け入れる企業にとって大きな負担となりがちです。
- 最も安心な選択肢: 煩雑な支援業務(特に役所への届出や生活サポート)に自信がない場合は、専門家である登録支援機関に支援業務を委託することを推奨します。これにより、企業はコア業務に集中しつつ、法令遵守のリスクを最小限に抑えることができます。
この3つのチェックリストをクリアし、外国人材が安心して働ける環境を整えることこそが、受け入れ成功の第一歩となります。









