高市政権が目指す外国人政策:「日本人のための国益優先」への大転換

国会議事堂

2025年10月21日に誕生した高市早苗政権は、従来の外国人雇用・移民政策に対し、「国益と国民の安全・安心」を最優先するという点で、明確に一線を画す姿勢を示しています。

これは、外国人労働力を経済成長の手段と捉えてきたこれまでの流れから、「日本の社会や文化との調和」を厳しく求め、「ルールを守れない者には厳格に対応する」という方向に大きく舵を切ることを意味します。

新政権の外国人政策は、高市総裁自身の発言と、担当大臣に就任した小野田紀美氏のスタンスによって方向づけられています。


高市総裁(新政権)が掲げる外国人雇用政策の方向性

高市総裁の外国人政策に関する発言は、「慎重な受け入れ」と「国益の保護」に集約されます。

  • 労働力としての受け入れは「ゆっくり進める」: 人手不足の産業分野で外国人材の力が必要であることは認めつつも、「こうしたことはゆっくり進めなければならない」と強調しています。急激な外国人受け入れは「日本の社会をとげとげしくするだけだ」とし、社会の摩擦を避けるための速度調整を示唆しています。
  • 不法滞在者・犯罪者への厳格対応: 「経済的な動機でやって来て、難民を主張する人にはきちんと帰っていただく」とし、不法滞在者や日本のルールを守らない外国人に対しては、厳格に法律を守らせる姿勢を打ち出しています。そのために、入国警備官の待遇改善と人員増強を訴えています。
  • 「移民反対」と国益保護: 「外国人に対する移民反対」の姿勢を明確にしており、日本の文化や社会の調和を重視しています。また、「外国人の土地買い占め阻止」のため、経済安全保障の観点から土地取得を制限する法整備を推進する意向を示しています。
  • 司令塔機能の強化: 連立合意においても、「ルールや法律を守れない外国人に対しては厳しく対応することが、日本社会になじみ貢献している外国人にとっても重要」との考えに基づき、内閣の司令塔機能を強化し、担当大臣を置くことが明記されています。

小野田紀美 外国人政策担当大臣のスタンス

特定技能制度などを所管する大臣の一人となった小野田紀美氏は、自らの経験から、外国人政策において「公平性と合理性」を求める姿勢を貫いています。

  • 「差別ではない区別」の必要性: 自らも外国籍だった経験を持つ小野田氏は、「普通の人が言ったら差別だと言われてしまうことを、差別ではない区別だと。必要なことは絶対にやっていく」と述べています。これは、感情論ではなく、日本の国益や法体系を守るための合理的な線引きを求めるというスタンスです。
  • 理不尽な仕組みの破壊: 一貫して「理不尽な仕組み、法律、全部変えていきたい」「正直者がバカを見ないため」と訴えており、外国人政策においても、現行制度の抜け穴や、悪用される「理不尽」な構造の是正に強く取り組むことが予想されます。

今後、新政権が目指す外国人政策の方向性

高市政権の政策は、これまでの「経済合理性」を軸とした外国人材受け入れから、「安全保障」と「社会秩序」を重視した管理型・選別型のモデルへと移行することを目指します。

  1. 経済安全保障の強化(土地規制・投資審査): 外国人及び外国資本による土地取得規制の強化や、海外からの投資を厳格に審査する「対日外国投資委員会(日本版CFIUS)」の創設が目指されます(連立合意書より)。これは、外国人による土地取得などを安全保障の観点から制限する動きです。
  2. 「管理」と「選別」の厳格化: 育成就労制度への移行が進む中でも、不法滞在者や難民認定申請の悪用者への対応は厳格化され、入国管理体制が強化されます。日本社会に貢献する外国人との区別を明確にする「選別」の基準が厳しくなるでしょう。
  3. 速度の抑制と調和の重視: 特定技能制度などによる労働者の受け入れ総数について、急激な増加は避けられ、地域社会やインフラの許容量を考慮した「ゆっくり」としたペースで進められる可能性が高いです。

結論として、高市政権の外国人政策は、「開かれた移民政策」を明確に否定し、「国益と国民の安全・安心」を守り抜くために、外国人の「質」と「管理」を厳格化するという、保守的な理念に基づいた大転換を目指していると言えます。


参考動画

外国人労働者が日本の社会で直面する課題や、政策決定の背景にある議論を知る上で参考になります。
👉【参院選特集】「外国人政策」争点に急浮上 広がる誤情報 当事者は困惑(中京テレビNEWS)