外国人材の雇用が広がる中、「外国人雇用労務士」、通称「外労士」という民間資格をご存じでしょうか?この資格は、外国人雇用に関する専門知識を証明するものですが、国家資格である行政書士や社会保険労務士とどう違うのか、どんなメリットがあるのか、あまり知られていません。
この記事では、「外労士」とはどんな資格なのか、取得のメリットや難易度、そしてその仕事内容まで、知らない人が新たな知識として学べるように詳しく解説します。
外労士はどんな資格?
「外国人雇用労務士」は、2019年4月に一般社団法人全国外国人雇用推進機構が創設した民間資格です。これは、外国人材の受け入れを円滑に進めるための専門知識を持つ人材を育成することを目的に設立されました。
行政書士・社労士との違いを比較
外労士は国家資格ではありません。そのため、法律で定められた特定の業務を独占的に行うことはできません。
資格名 | 資格の種類 | 主な専門分野 | 独占業務 |
外国人雇用労務士(外労士) | 民間資格 | 外国人雇用全般の知識(採用、労務管理、多文化共生) | なし |
行政書士 | 国家資格 | 官公庁への書類作成・手続き代行(在留資格申請など) | 〇 入管業務、許認可申請など |
社会保険労務士 | 国家資格 | 労働・社会保険、労務管理 | 〇 労働社会保険の手続き、就業規則作成など |
【ポイント】
- 外労士は、行政書士や社労士の独占業務を代行することはできません。
- しかし、行政書士や社労士の資格だけではカバーしきれない、外国人雇用に特化した採用・労務管理・共生社会に関する幅広い知識を体系的に学ぶことができます。
資格取得の難易度と受験者数
外労士の試験は、オンライン形式で実施されます。難易度は、国家資格に比べると比較的易しいとされています。合格率は非公開ですが、講座内容をしっかり学べば合格は十分可能です。
創設から間もないこともあり、2024年9月現在で、資格取得者数はまだ数千人程度と推測されています。これは、行政書士や社労士の登録者数(数万人)と比較すると、まだまだ少ないのが現状です。
「外労士」を取得したらどんな仕事ができる?
外労士の資格は、名刺や履歴書に記載することで、外国人雇用に関する専門性をアピールできます。主に以下のような分野で役立ちます。
- 企業の人事・労務担当者: 外国人材の採用・教育・労務管理を円滑に行うための知識として活用できます。
- 登録支援機関の職員: 特定技能外国人の生活支援や相談業務において、より質の高いサポートを提供できます。
- 専門家(行政書士・社労士): 自身の独占業務に加え、外国人雇用に関する幅広い知識をアピールし、顧客からの信頼を得ることができます。
- 外国人材向けコンサルタント: 外国人材の採用や定着に関するコンサルティング業務を行う際に、専門家としての説得力を持たせることができます。
まとめると、「外労士」は、外国人雇用という専門領域に特化した知識を体系的に学ぶための「証明書」と言えます。国家資格の補助的な役割を担いながら、多文化共生時代に求められる、新しいタイプの専門家として活躍が期待される資格です。