特定技能外国人が過去最高33万人突破!「介護」分野が初の5万人超え、目標達成に向けた課題が浮き彫りに

右肩上がりの棒グラフ

日本国内の労働力人口の減少を背景に、外国人材の受け入れが加速しています。出入国在留管理庁のまとめによると、「特定技能(1号・2号)」の在留資格を持つ外国人が、今年6月末時点で過去最高の計33万6,196人に達しました。

これは、前年6月末時点から約3割、実数で約8万4千人の増加にあたります。海外人材に対する日本の需要が依然として高止まり傾向にあることが明確になりました。


政府目標に対する進捗と課題

特定技能制度は、2019年の制度創設時に、初年度(2019年度から5年間)で最大34万5千人を受け入れるという政府見込みが設定されていました。

  • 進捗状況:今年6月末時点で33万6,196人に達し、当初の見込み数(34万5千人)に対しては、概ね目標達成が視野に入る水準となっています。制度開始から5年が経過する中で、当初想定された人数の確保がほぼ実現した形です。
  • 課題:しかし、現在の特定技能外国人の許可状況を見ると、これまでに在留を許可されたケースの6割強(35万4,233件)が、日本国内で他の在留資格から変更した外国人によって占められています。これは、当初政府が期待していた「海外現地から人材を呼び込む」というルート(35%)が計画通りに進んでいないことを示唆しています。

国籍別内訳の変化:ベトナムの比率が低下、インドネシアが急伸

特定技能外国人を出身国・地域別で見ると、順位と比率に変化が見られます。

  • ベトナム:引き続き最多の14万8,486人ですが、全体に占める比率は1年前の50%から44%へと漸減しています。長期にわたる円安ドル高が、日本で働くメリットを薄れさせていることが背景にあるとみられます。
  • インドネシア:2番目に多い6万9,537人に達し、直近の半年間だけで3割増と急伸しています。
  • ミャンマー:3万5,640人となり、フィリピン(3万2,518人)を上回って3位に浮上しました。

介護分野が急伸、特定技能の「中核」へ

特定技能外国人の就労分野別では、構造的な変化が起きています。

  • 最多分野:「飲食料品製造業」が8万4,892人で全体の4分の1を占める構図は変わりません。
  • 急伸分野:これに次ぐ2番手として、「介護」分野が初めて5万人を突破(5万4,916人)し注目されています。介護分野の特定技能外国人は、1年前から約5割も増加しており、担い手不足が深刻な介護分野が、今後、特定技能の中核分野としてさらに重要なウェイトを占めていくと見られます。
  • 介護の構成:「介護」では、インドネシア(1万6,249人)とミャンマー(1万5,046人)の出身者が双璧となっており、他の主要分野とは異なる出身国の構成となっています。

特定技能制度は、日本国内の労働力維持に貢献している一方で、海外からの新規人材獲得という当初の目標達成には、円安の影響や海外送出し国との連携強化など、引き続き課題が残されています。