2026年現在、ミャンマー人材の採用を計画している企業の間では、来日手続きが予定どおり進まない状況が続いています。かつては比較的短期間で入国できるケースもありましたが、現在は手続きの遅れや不確実性が増しており、採用計画の見直しを迫られる企業も出ています。
こうした動きは個別事例にとどまらず、制度変更や政治情勢の影響を受けた構造的なものとみられています。本稿では、採用現場で起きている変化とその背景、今後の見通しについて整理します。
来日手続きの長期化と不確実性
企業の間では、面接や内定後に来日までの見通しが立ちにくくなっているとの声が広がっています。試験や在留資格認定を終えても、出国許可や関連書類の発行が進まず、現地で待機状態となる事例が報告されています。
日本側の在留資格手続きが完了していても、ミャンマー側の行政手続きが完結しなければ出国できないため、日本の制度だけでは調整できない領域が大きい点が特徴です。このため、企業側は採用時点で入国時期を確定できず、人員配置や教育計画に影響が及んでいます。
遅延要因の時系列を整理
来日プロセスの停滞は、単一の出来事ではなく、複数の制度・政策変更が段階的に重なった結果とみられます。
| 時期 | 主な出来事 | 来日手続きへの影響 |
|---|---|---|
| 2024年以降 | 徴兵制度の導入 | 若年層を中心に出国審査が厳格化 |
| 2025年初頭 | 海外就労登録関連制度の見直し | 書類発行や登録手続きが停滞 |
| 2025年〜 | 送り出し人数の制限 | 申請処理の滞留が発生 |
| 2026年現在 | 滞留の累積 | 出国待機状態の人材が継続的に発生 |
これらの変化が重なったことで、条件を満たしている人材であっても出国までに時間を要する状況が続いています。
改善見通しの不透明性
現時点では、来日手続きが短期的に大きく改善するとの公式な見通しは示されていません。ミャンマー当局は、若年層の国外流出抑制と外貨収入の確保という異なる政策目的の間で制度運用を続けており、手続きの透明性や処理速度にはばらつきがみられます。
このため、企業側としては、制度の緩和や正常化を前提にした計画を立てることが難しい状況にあります。
採用戦略の再設計
こうした環境の変化を受け、企業には採用計画の前提そのものを見直す必要が生じています。来日時期を確定できないことを前提とした人員配置、複数国からの採用の併用、入社時期の柔軟化などが現実的な対応策として検討されています。
また、すでに内定している人材についても、定期的な連絡や学習支援を通じて関係を維持することが、辞退や他国流出を防ぐ観点から重要になります。これは単なる人材確保にとどまらず、企業と人材の相互理解を維持する取り組みともいえます。
総括と今後の視点
ミャンマー人材の来日停滞は、突発的な混乱というより、制度・政治・行政が複合的に作用した結果として生じています。国境を越えた人の移動が、各国の政策環境に強く左右されることを改めて示す事例といえます。
企業にとっては、特定の国に依存した採用モデルのリスクが顕在化した形でもあります。今後は、国別分散、採用時期の柔軟化、育成期間の長期化などを組み合わせながら、不確実性を前提とした人材戦略を構築することが求められます。
同時に、待機を余儀なくされている人材の側にも不安定な状況が生じています。企業がその事情を理解し、対話と支援を継続する姿勢を示すことは、信頼関係の維持という点でも重要です。
外国人雇用は単なる労働力調達ではなく、長期的な関係構築の側面を強めつつあります。ミャンマー人材の来日停滞は、その変化を象徴的に示す現象の一つといえるでしょう。










