2026年は、日本の労働市場にとって一つの節目となる年になりそうです。2027年に予定されている「育成就労制度」への移行を前に、制度・運用の両面で準備が進むタイミングでもあります。こうした流れの中で、外国人材の受け入れ方についても、従来の考え方を見直す動きが少しずつ広がっています。
これまで「人手不足への対応」として語られることの多かった外国人雇用は、いまでは人材育成や組織づくりといった観点から捉え直され始めています。人材をどのように位置づけ、どう育てていくかが、企業ごとの差として現れやすくなってきています。
目次
① 育成就労の事前準備:転籍が可能になる時代の組織づくり
2027年から始まる「育成就労」制度では、一定の条件(就労1〜2年、日本語N4程度など)を満たした場合、本人の意向による転籍(転職)が認められる仕組みになります。2026年は、その運用を見据えた準備が進む時期と位置づけられています。
こうした制度変更を背景に、企業側でも教育や受け入れ体制のあり方を見直す動きが出てきています。現場でのOJTに加え、日本語能力の向上や、将来的な特定技能2号への移行を視野に入れた技能教育を、あらかじめ仕組みとして整えておこうとする企業も増えています。
また、業務面だけでなく、働く人の安心感や納得感をどうつくるかという点も注目されています。文化や宗教、生活習慣の違いを前提とした配慮が、「ここで働き続けたい」と感じてもらえる環境づくりにつながるケースも少なくありません。
たとえば、インドネシア人材紹介P3MI取得の「フジアカデミー(バリ島)」では、日本での失踪者が過去4年以上ゼロという実績が続いています。入国前の日本式教育に加え、現地行政(ジェンブラナ県)との連携を通じて、本人だけでなく家族に対しても十分な情報提供とサポートが行われている点が、こうした結果につながっていると考えられます。来日後の安定した就労や生活基盤の形成には、このような取り組みも、少なからず寄与していると言えそうです。
② コスト構造の変化:「人的資本経営」としての賃金・手数料見直し
外国人材の受け入れを取り巻くコスト構造は、いま大きな転換期を迎えています。もはや人件費や各種手数料は「できるだけ抑えるべきコスト」ではなく、人材の質と定着を左右する戦略的投資として捉え直す必要があります。
その背景として、2026年4月からは入管への申請手数料が数万円単位で増額されることが見込まれています。さらに円安の影響も重なり、外国人材にとっては「いくらもらえるか」だけでなく、「いくら手元に残るか(手取り額)」への関心がかつてないほど高まっています。
このような環境下では、日本人と同等の待遇はもはや前提条件です。例えば特定技能自動車運送業のトラックドライバーでは、年収400万〜500万円程度の、日本人と同水準の待遇を提示して初めて、優秀な人材が安定的に集まるのが現実となりつつあります。
同時に重要なのが、福利厚生や安全管理の分野におけるDXです。IT技術を活用し、スマートフォン等でドライバーの健康状態やメンタルを可視化・管理するアプリ(非接触での心拍・血圧測定など)を導入することで、管理コストの削減と安全性の向上を同時に実現する取り組みが求められています。
こうした文脈において、増額されるビザ関連手数料も単なる「負担」ではなく、人材の質を担保し、その後の生産性を高めるための必要な投資と捉えるべきです。その投資を上回る価値を引き出すマネジメント体制への転換こそが、これからの競争力の源泉となります。
③ 特定技能2号の本格活用:「現場リーダー」へのキャリアパスが定着の鍵
2026年は、特定技能1号から2号へ移行する人材が徐々に増え始めるタイミングです。現場でも、「単なる作業担当」としてではなく、チームの中核を担う存在として期待されるケースが少しずつ増えてきています。
たとえば「班長」というポジションを用意し、業務の取りまとめや後輩指導を任せる動きも出てきています。2号への移行によって家族帯同が可能になることもあり、こうした役割の提示が、本人にとって「ここで働き続ける理由」になる場合も少なくありません。結果として、新しく入ってくる人材の教育や定着がスムーズになるケースも見られます。
一方で、分野によっては乗り越えるべきハードルもあります。ドライバー分野では、日本の免許への切り替え(いわゆる外免切替)がその代表例です。最近では、企業側が合宿型の講習や費用補助を用意し、切り替えまでを一つの支援パッケージとして設計する例も出てきています。一定期間の就業を前提としたこうした仕組みは、結果的に長期定着につながることも多いようです。
また、宗教や生活習慣などの違いを前提とした職場づくりも、実務上ますます重要になっています。バリ島でヒンズー教徒とムスリムが共存している文化のように、異なる背景を持つ人材が無理なく働ける環境を意識的に整えている企業ほど、トラブルが少なく、現場が安定しやすい傾向があります。
2026年は「2027年の制度変更」を見据えた準備期間
2027年4月から制度が変わることを見据え、すでに人材側は「どの会社で経験を積むか」を意識し始めています。日本語教育や技能教育、キャリアの見通しをきちんと示している企業は、早い段階から候補として検討されることが多いようです。
こうした動きを踏まえると、外国人雇用は単なる人手不足対策というより、「どう育て、どう関係を築いていくか」という中長期のテーマになりつつあります。2026年は、その土台づくりを進めるための重要な1年と言えるかもしれません。











