【2026年版】特定技能2号への移行が広がる 長期定着を支える企業の備え

キャリアアップを表現するイラスト

特定技能2号は、熟練した技能を持つ外国人が日本で働き続けるための在留資格です。特定技能1号と異なり、家族帯同が認められる点が大きな特徴です。

また、2号は更新を重ねることで長期在留が可能とされていますが、資格を得たからといって自動的に永住になるわけではありません。永住許可は別制度で、要件審査も別に行われます。企業側は、2号を「長期就労の選択肢が広がる資格」と捉えつつ、本人のキャリア形成と生活基盤づくりをどう支えるかが問われます。

さらに2027年4月1日には育成就労制度が施行されます。制度移行を前に、外国人本人が中長期の在留をどう描くか、企業がどう伴走するかが一段と重要になります。(moj.go.jp)


最新データが示す2号の伸び

出入国在留管理庁が公表する「特定技能制度運用状況(令和7年6月末)」の速報値では、特定技能在留外国人数は1号が33万6,196人、2号が3,073人とされています。(moj.go.jp) 2号は総数としてはまだ小さいものの、制度拡大後に在留者数が増えていることがうかがえます。農林水産省資料でも同様の数値が紹介されています。(maff.go.jp)

在留数の概要(令和7年6月末・速報値)

区分在留人数出典
特定技能1号336,196人出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況(令和7年6月末)」
特定技能2号3,073人同上

2号に移行する人が増えることは、企業にとって二つの意味を持ちます。ひとつは、熟練人材を社内に蓄積できる可能性が高まること。もうひとつは、長期定着を前提にした処遇や育成の設計が不十分だと、本人がよりよい環境を求めて転職する動機も強くなり得ることです。


企業が取り組むべき支援は「試験対策」だけではない

2号への移行を支える取り組みは、試験勉強の支援に目が向きがちです。しかし本質は、本人が長く働ける前提条件を整えることにあります。学習支援はその一部であり、合わせて評価・処遇・生活支援・相談体制が組み合わさって初めて効果を持ちます。

現場でよく見られる取り組みは、次のように整理できます。

企業の支援策を「目的別」に整理する

支援の目的具体策の例期待できる効果
試験合格の後押し業務時間内の勉強会、専門用語の教材整備、受験手続きのサポート学習の継続率を上げ、受験のハードルを下げる
定着の前提づくり役割・昇給の基準を明確化、班長・リーダー登用の道筋を提示将来像が見え、転職の動機が「不満」だけになりにくい
家族帯同を見据えた生活支援住居相談、学校・医療・行政手続きの案内、通訳・やさしい日本語の整備家族帯同が可能な2号の特性を活かし、生活不安を減らす
コンプライアンスと安心相談窓口の設置、ハラスメント防止、在留期限・手続きの管理トラブルの早期発見と、安心して働ける環境づくり

このうち、家族帯同の可否は2号の大きな特徴です。制度上の取り扱いは入管庁が明確に示しており、企業は「できること/できないこと」を正確に伝えることが重要です。(moj.go.jp)


経営の視点では「教育投資=リスク低減」

外国人雇用で見落とされがちなのは、熟練者の離職がもたらす損失です。新規採用や初期教育の繰り返しは、現場の負担とコストを押し上げます。一方、2号移行を支える教育・制度整備は、熟練者を社内に留め、技能継承を進める投資になり得ます。

ただし、支援は「会社が面倒を見る」ことの競争ではありません。必要なのは、制度情報を正確に伝え、学習の機会を用意し、評価と処遇の納得感をつくることです。2号の対象分野は拡大し、育成就労への移行も控えています。制度が変わるほど、企業の「育成と定着」の設計力が差になります。


経営者が今から着手しやすい3つの準備

第一に、社内の対象分野で2号の要件や試験情報を把握し、本人と共有することです。対象分野は広がり続ける傾向にあり、自社がどこに該当するかを確認する必要があります。

第二に、合格後の処遇や役割を言葉にすることです。手当や昇格だけでなく、担当工程の拡大、リーダー業務、教育係など、現場にとって意味のある役割を提示できるかがポイントになります。

第三に、学習の時間と環境を確保することです。多忙な現場ほど「やる気があれば自分で勉強して」と言いがちですが、学習時間の確保と教材整備は、企業側の意思表示になります。


まとめ

特定技能2号は、家族帯同が可能で、更新を重ねることで長期就労が見込める在留資格です。対象分野も拡大し、制度としての射程は広がっています。

一方で、2号への移行はゴールではありません。本人が長く働き続けるには、学習支援だけでなく、処遇の納得感、相談体制、生活支援といった環境整備が欠かせません。2027年4月の育成就労施行を前に、企業には「長期定着を前提に人を育てる」発想がより強く求められます。