外国人政策が厳格化される中、SNS等で根強く囁かれるのが「外国人が日本の社会保障にタダ乗りしている」という言説です。特に高市政権下で「秩序ある共生」が叫ばれる今、この「不公平感」の正体は何なのか。
東京新聞が報じたデータを紐解くと、私たちが現場で感じている「実態」とは異なる、意外な事実が見えてきました。
検証:国民健康保険の「負担」と「給付」のバランス
「外国人が保険料を払わずに高額医療を受けている」というイメージがありますが、埼玉県川口市などのデータを用いた検証では、実態はむしろ逆の結果が出ています。
- 事実:負担のほうが大きい
多くの自治体において、外国人が支払っている「保険料(負担)」の総額に対し、実際に医療機関にかかって受け取った「保険給付(受益)」の割合は、日本人世帯よりも低い傾向にあります。 - 理由:若さゆえの低受診率
日本に滞在する外国人の多くは20代〜40代の「現役世代」です。高齢化が進む日本人コミュニティに比べ、医療機関にかかる頻度がそもそも低いため、制度全体で見れば「支え手」としての側面が強いのが現実です。
なぜ「ただ乗り説」が拡散するのか?
事実と異なる「ただ乗り」という言葉が広まる背景には、一部の極端な事例や、制度の不備に対する不安があります。
- 一部の不正利用のイメージ: 過去に報じられた「海外出産一時金の不正受給」や「高額療養費制度の悪用」などの個別の事件が、あたかも「外国人全体がやっていること」として拡大解釈されています。
- 生活保護への誤解: 「外国人は無条件で生活保護が受けられる」といった誤解も、不公平感を煽る要因となっています。実際には、定住者や永住者など特定の在留資格に限られ、日本人と同様に非常に厳しい審査が行われています。
外国人雇用の現場が「正しく発信」すべきこと
こうした「ただ乗り説」が蔓延することは、自社で真面目に働く外国人社員に対する偏見を助長し、離職やトラブルを招くリスクになります。
経営者が知っておくべき3つの防衛策:
- 「支え手」としての実績を認める:
彼らは社会保障の「ただ乗り」に来ているのではなく、日本の労働力不足を補い、高い社会保険料を納めて日本の高齢者を支えている「パートナー」であることを再認識することが重要です。 - 不適切な言説にはデータで対応:
社内で日本人スタッフとの間に摩擦が起きそうな時は、「彼らは若くて健康な分、実は保険料の支払い損になっているケースも多いんだよ」と、今回のデータのような事実を伝えることが有効です。 - 社会保険加入の徹底が偏見を壊す:
会社が社会保険の加入を徹底することは、彼らが「ルールを守る立派な納税者」であることを証明する最大の手段になります。
まとめ:感情論ではなく「数字」で共生を語る
東京新聞の報道(2026年1月25日)が示した通り、「受益の割に負担が少ない」という言説は、多くの場合データによって打ち消されます。
外国人政策が厳しくなる今だからこそ、私たち雇用側は「ルールを守らせる厳しさ」と同時に、「事実に基づいた公正な評価」を彼らに与える必要があります。それこそが、SNSの根拠なき噂に惑わされない、真に「秩序ある共生社会」への近道となるでしょう。










