12月7日 JLPT受験会場で考えたこと:日本語学習者への敬意を込めて

漢字学習教材

去る12月7日(日)は、年に2回(7月と12月の第1日曜日)実施される日本語能力試験(JLPT)が、全国全世界で実施された日でした。

今回、筆者の知人がN5レベルに挑戦するというので、その付き添いとして共に会場へ足を運びました。


努力の証、受験への道

彼は日本に来て3年目。働く傍ら、日々の生活の中で日本語の語彙や文法を懸命に学び、そして、多くの学習者にとって難関である漢字の勉強にも果敢に挑戦し続けてきました。

日頃の彼の努力を知っている筆者も、まるで自分が受験するかのように緊張した気持ちで、共に受験会場である某大学のキャンパスへと向かいました。

キャンパス内には、たくさんのスタッフが立ち、受験者である外国人の方々をスムーズに誘導しています。その真剣な眼差しは、静かな熱気に満ちていました。


残念な光景と日本人としての反省

しかし、その中で、私にとって非常に残念な光景を目にすることになりました。

それは、スタッフの中でも年配の日本人男性が、威圧的な態度で受験者の方々を誘導していたことです。特に、受験者に付き添っていたと思われる外国人の方に対して、怒鳴るような声で注意していました。

「なぜ受験者でない人間がここにいるんだ!早く出て行きなさい!」

何を言われたのかわからず、ただ呆然と立ち尽くすその外国人の方。それを見た日本人男性スタッフは、ついには相手の腕を掴んでキャンパスの入り口の方へ連れて行こうとしました。

当然、それを見ていた他の外国人受験者たちや付き添いの方々は、凍りつくように立ち尽くすしかありませんでした。会場全体に緊張と気まずさが漂います。

「私たちは、こんな日本人の言葉である日本語を勉強しているのか…」その場にいた日本語学習者の方々を、そんな残念な気持ちにさせてしまったとしても、それは当然のことだと感じました。


表現する術を学んでいるだけ

日本語を学ぶ外国人の方々は、私たち日本人のように、自分の意思や意見を自由に、流暢に表現することがまだできないかもしれません。

しかし、それは彼らが「意思を持っていない」「意見を持っていない」ということでは決してありません。ただ、それを「日本語で表現する術」を、今まさに学習中であるというだけなのです。

彼らは、自分の国や自分の言語の社会においては、豊かな経験、優れた能力、そしてしっかりとした意志や意見を持つ、一人の立派な社会人です。何かの分野で深い見識をもつ専門家の方々かもしれません。

日本語での表現が未熟であるからといって、彼らを私たち日本人より劣った存在であると勘違いすることは、あってはならない大変な誤解です。


敬意を持って接するということ

複雑な文化と複雑な言語を持つ「日本」というフィールドで、日々努力し、戦っている外国人の方々に対し、私たちは最大限の敬意を持って接するべきです。

働きながら、生活しながら、そして未来のために日本語を学び、この難関に挑戦したすべての受験者の皆様に、心からの拍手を送りたい。

そんなことを強く思った12月7日でした。

受験されたすべての皆様に素晴らしい結果が出ることを、心よりお祈り申し上げます。