在留資格の「期限切れ」は絶対NG!企業がすべき更新手続きの基礎知識☝️不法就労助長罪のリスク回避と更新申請の手順

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外国人社員の雇用において、企業の皆様が最も厳重に管理しなければならないのが「在留資格(ビザ)」の有効期限です。この期限を徒過し、万が一社員が不法滞在の状態となってしまうと、会社側も「不法就労助長罪」に問われるという、深刻なリスクがあります。

本記事では、この重要な更新手続きの基本と、企業が取るべき具体的な管理手順を解説します。


なぜ期限切れは絶対NGなのか? — 企業が負う重大リスク

在留資格の有効期限が切れた状態で、外国人社員を就労させた場合、企業は以下の二重のリスクを負うことになります。

外国人社員本人への影響

在留資格の期限が切れた外国人社員は「不法残留(オーバーステイ)」となり、強制退去(強制送還)の対象となります。これは、優秀な人材を失うだけでなく、企業としての信頼も失墜させます。

企業側への法的リスク:不法就労助長罪

企業が、不法残留であることを「知って」または「知らなかったことに落ち度があって」就労させた場合、「不法就労助長罪」に問われます。

不法就労助長罪の法定刑は、5年以下の拘禁刑(懲役)または500万円以下の罰金、またはその両方です。企業の担当者や経営層が逮捕・書類送検される可能性があるため、「期限を忘れていた」では済まされない重大な法令違反であることを認識しなければなりません。


在留資格更新手続きの基礎知識

在留期間の更新手続き(在留期間更新許可申請)は、外国人社員本人の義務ですが、実務上は企業側がサポートすることが一般的です。

いつから申請できるのか?

更新申請は、在留期間が満了する3ヶ月前から行うことができます。申請期限は在留期間が満了する日までです(期限を過ぎると、不法残留となります)。

💡 ポイント: 申請期間はたっぷりありますが、入管庁の審査には通常2週間から1ヶ月程度かかります。年末年始や年度末などは混雑するため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

企業側が準備すべき主な書類(特定技能の場合)

特定技能の更新では、企業が外国人材の受け入れを適正に行っているかを証明する書類が必要です。外国人社員本人が作成する在留期間更新許可申請書のほかに、企業側が用意する主な書類には以下のようなものがあります。

まず、賃金や雇用に関する証明として、雇用契約書(写し)や、日本人社員と同等以上の賃金を支払っていることを示す賃金台帳・労働条件通知書(写し)が必要です。次に、支援の適正さを証明するための特定技能外国人支援計画書、そして企業が行うべき入管庁への各種報告がされていることの証明となる各種届出書(写し)などが求められます。


企業の責務!期限管理を徹底する手順

在留期間の期限は、外国人社員のパスポートや在留カードに記載されています。企業は、確実に期限を把握し、準備を進めるための体制を整える必要があります。

ステップ1:入社時に期限情報を共有する

  • 外国人社員が入社した際、在留カードの写しを保管するだけでなく、在留期間の満了日を人事部と現場責任者、本人の間で必ず共有します。

ステップ2:「申請リマインダー」を設定する

  • 満了日の4ヶ月前、3ヶ月前(申請開始)、1ヶ月前の3段階で、申請準備を促すリマインダー(通知)を電子カレンダーや管理台帳に設定します。

ステップ3:「申請中」の記録を保管する

  • 更新申請を出すと、期限が過ぎても合法的に就労が継続できます。企業は申請の記録(申請受付票など)を保管しましょう。

💡 安心のポイント: 審査が長引いたとしても、申請が受理されていれば、不法残留にはなりません。ただし、申請するのを忘れることが最大のリスクです。

外国人材の雇用は、企業の未来を支える重要な取り組みです。在留資格の適切な管理と更新は、その健全な運営を守るための最優先事項であることを肝に銘じ、確実な手続きを行いましょう。手続きに不安がある場合は行政書士のサービスを利用することを強くお勧めします。

大切な労働力である外国人人材が安心して長く働ける環境づくりに着実に取り組んでいきましょう。