新型コロナウイルスの流行以降、特定技能の支援業務において、外国人材との定期面談をオンラインで実施する登録支援機関が増えました。時間とコストを大幅に削減できるオンライン面談は、今や欠かせないツールとなっています。
しかし、その便利さの裏には、意外と知られていない重要なルールがあるのをご存知でしょうか。
オンライン面談には、対面での面談と同等の厳格な記録・保管義務が課せられています。
なぜ記録の保管が義務なのか?
法務省は『特定技能外国人受入れに関する運用要領改正のポイント(令和7年4月1日改正予定)』を発表しています。
そこでは、オンライン面談を有効なものとするために、以下の2つの記録を義務付けています。
- 面談の録画:
- 面談の様子をすべて録画し、特定技能雇用契約の終了日から1年以上保管する義務があります。これは、支援が適切に行われたかを出入国在留管理局が客観的に確認できるようにするためです。
- 外国人材からの同意書面:
- オンラインで面談を実施することについて、外国人材本人から事前に書面で同意を得る必要があります。この同意書面も、支援計画書の帳簿として適切に保管しなければなりません。
これらの記録は、支援が適切に行われているかの透明性を確保し、万が一、入管庁の監査や調査が入った際に、貴機関のコンプライアンスを証明するための重要な証拠となります。記録がない場合、支援義務を果たしていないと判断され、指導や行政処分の対象となる可能性も否定できません。
録画だけじゃない!オンライン面談の注意すべき「3つの落とし穴」
運用要領は、録画義務以外にも、オンライン面談を適切に行うための重要なルールを定めています。これらを知らないと、せっかくの面談が不適切と判断されるリスクがあります。
- 対面面談が原則であること
- オンライン面談はあくまで例外的な措置であり、面談対象者が対面を希望した場合は、対面での実施が義務付けられます。
- また、外国人材の業務内容や待遇に問題が疑われる場合や、第三者の介入が疑われる場合も、改めて対面による面談を行う必要があります。
- 「第三者の介入」を徹底的に排除すること
- 面談の際に、外国人材が他者の影響を受けずに発言していることを確認する義務があります。
- 具体的には、面談開始前に部屋全体を映してもらい、周囲に人がいないかを確認。イヤホンや別のモニターがないか確認することも推奨されています。また、質問の順序や内容を毎回変えるなどの工夫も求められます。
- 信頼関係を築くための対面面談の推奨
- 特に以下の場合は、対面での面談が望ましいとされています。
- 受け入れ後、初めての面談
- 面談担当者が変更された後の初めての面談
- また、オンライン面談を活用する場合でも、1年に1回以上は対面による面談を実施することが推奨されています。
- 特に以下の場合は、対面での面談が望ましいとされています。
今すぐできるチェックリスト
貴機関がオンライン面談を適切に運用するために、以下の点を今一度ご確認ください。
- 面談の録画環境は整っていますか?
- 外国人材からの同意書は取得していますか?
- 長期保管の体制は構築されていますか?
- 外国人材が対面を希望した場合に対応する体制はありますか?
- 面談時に第三者の介入がないか確認する手順を定めていますか?
- 年に1回以上の対面面談を計画していますか?
オンライン面談は、業務効率化の強力な武器です。しかし、この重要なルールを遵守して初めて、その真のメリットを享受できます。これを機に、貴機関の記録管理体制と面談方法を見直すことを強く推奨します。