「技能実習」が変わる!「育成就労」で企業は何をどう変える?受け入れ側の変化を徹底解剖

工事現場で鉄筋を運ぶ男性作業員3名

「育成就労制度」という言葉、最近ニュースなどで耳にする機会が増えていませんか? これは、これまで日本で外国人労働者を受け入れてきた「技能実習制度」が大きく変わる新しい制度として、現在議論が進められているものです。

「外国人労働者の受け入れ制度が変わる」と聞いても、一体何がどう変わるのか、そして私たちの生活や企業にどんな影響があるのか、なかなかイメージしにくいですよね。

そこでこの記事では、育成就労制度がなぜ議論されているのか、技能実習制度と何が違うのか、そして企業にとってどんな点が注目されているのかを、分かりやすく徹底解説していきます。


なぜ「育成就労制度」が議論されているの?
~技能実習制度の課題と新たな目的~

これまで、日本の人手不足を補う目的などで活用されてきた技能実習制度ですが、いくつかの課題も指摘されてきました。例えば、技能習得が目的であるはずなのに、単純労働に従事しているケースがある。
・一部の悪質な仲介業者による高額な手数料問題
・外国人実習生が日本での生活や労働に馴染めず、早期に帰国してしまうケース
これらの課題を解決し、外国人労働者がより安定して日本で働き、日本の産業や経済の発展に貢献できるような新しい仕組みを作ろうというのが、「育成就労制度」の大きな目的です。

何が変わる?技能実習制度からの主な変更点
〜受け入れ側の企業が注目すべきポイント〜

では、技能実習制度から育成就労制度に変わることで、受け入れ側の企業は具体的に何に注目し、どう変わる必要があるのでしょうか? 現在議論されている主なポイントを解説します。

来日費用の企業負担が増える可能性【コスト構造の変化】

現在、技能実習生が日本に来るための費用(航空券代など)は、送り出し機関や仲介業者を通して実習生自身が負担するケースが多く見られます。しかし、新しい育成就労制度では、採用する企業側がその費用の一部(5割以上)を負担する方向で検討されています。

企業への影響: 実習生の経済的な負担は軽減される一方で、企業にとっては一人あたり数十万円の費用が増加する可能性があります。これは、採用コストの見直しや予算計画の変更を迫られる可能性があります。

外国人材への日本語教育支援が重要に【育成への投資】

育成就労制度では、外国人材が日本で長く活躍できるよう、日本語能力の向上がより重視されると考えられています。そのため、企業に対して、日本語学習の機会を提供したり、学習を支援する体制を整えることが求められる可能性があります。

企業への影響: 言葉の壁を解消することは、外国人材の早期離職を防ぎ、業務効率の向上にもつながります。しかし、企業にとっては新たな教育体制の構築や外部委託費用の発生など、育成への投資が必要となる可能性があります。

受け入れられる職種が大きく変わる可能性【採用戦略の見直し】

技能実習制度では、約90の職種で外国人を受け入れることが認められていましたが、育成就労制度では、16の「分野」に再編・統合される方向で議論が進んでいます。

企業への影響:

これまで技能実習生を受け入れていた職種が、新しい制度の対象外となる可能性があります。特に、これまで幅広い職種で技能実習生を受け入れてきた地方の中小企業にとっては、必要な人材を確保できなくなるという深刻な影響が懸念されます。新たな採用ルートの検討や、事業戦略の見直しが必要となるかもしれません。

まとめ
~育成就労制度への変化、企業が取るべき行動とは?~

育成就労制度への移行は、受け入れ側の企業にとって、コスト構造、人材育成、採用戦略の各方面に大きな変化をもたらす可能性があります。

企業は、新しい制度の動向を注視し、

費用負担の増加を見据えた予算計画の見直し
外国人材の日本語能力向上を支援する体制の検討
受け入れ可能職種の変更に対応した新たな人材確保戦略の策定
など、早めの準備と対策を講じることが重要になります。

「技能実習」から「育成就労」へ。この変化を機に、外国人材と共に成長していくための新たな一歩を踏み出すために、企業は今こそ真剣に向き合うべき時と言えるでしょう。